
毎日を生きていると、物事が上手くいかないということがあります。
例えば、学校や職場などでの人間関係。
あるいは、勉強や仕事。
このようなとき、考え方は2つに分かれます。
1つは、自分に責任があるという考え方。
これを「自責思考」といいます。
もうひとつは、他人や外部の環境に原因があるという考え方。
これを「他責思考」といいます。
このうち、自責思考を選んだ方が人生は圧倒的に上手くいくようになります。
ただ、この自責思考には落とし穴もあります。
使い方を間違えると、気分が落ち込んで行動ができなくなってしまいます。
この記事では「自責思考」とは何か、そしてその注意点について話したいと思います。
自責思考を持つ人がうまくいく理由
なぜ、自責思考を持つと物事が上手くいくようになるのか。
あるいは、なぜ自責思考を持たなければ、物事は上手くいかないのか。
この理由は、他人や外部の環境が基本的には変わらないということです。
自責思考と他責思考:成績が上がらない学生
例えば、あなたが塾や予備校に通っていて、思うように成績が上がらないとします。
このとき、原因を「先生の教え方が悪い」としたとします。
だが、先生が教え方を変えてくれる可能性はほとんどありません。
あるいは「両親も成績が悪かったのが遺伝したから仕方ない」と考えたとします。
だが、成績優秀な両親のもとに生まれ直すことはできません。
このように、他人や環境のせいにしたところで「成績が上がらない」という問題は解決されないのです。
ところが、自責思考に切り替えた瞬間に問題解決の可能性が生まれてきます。
例えば、次のように考えることができるようになります。
- 通う塾を変えてみたらどうか
- 勉強時間を増やしてみたらどうか
- 単語の覚え方を変えてみたらどうか
これだけで、成績が上がる可能性が高まることがわかります。
自責思考と他責思考:繁盛しないラーメン屋
もうひとつ例を出します。
例えば、あなたがラーメン屋をやっているとします。
そして、売り上げが低迷しています。
このとき「売り上げが伸びないのは不景気だからだ」と考えたとします。
だが、そう考えたところで景気は良くなりません。
あるいは「うちの店が流行らないのは客の見る目がないからだ」と考えたとします。
だが、そう考えたところでお客さんの好みが急に変わることはありえません。
こちらも、他責思考では売り上げの低迷を解決することはできないのです。
だが、こちらも自責思考に切り替えると、次のような思考が浮かんできます。
- 新しいメニューを開発したらどうか
- ポイントカードを導入したらどうか
- お店の宣伝にブログやYouTubeは使えないだろうか
景気やお客さんの嗜好が変らなくても、売り上げがアップする可能性が生まれてきます。
このように、他人や周囲を変えることは難しい。
しかし、自分を変えることは出来ます。
だからこそ、自責思考によって問題解決の可能性が生まれてくるのです。
自責思考になれない理由
ここまで書いたように、自責思考を取ることで物事は上手くいきやすくなります。
それにもかかわらず、ほとんどの人は自責思考を持てません。
そして、上手くいかない原因を他人や環境のせいにしてしまいます。
例えば、恋人にフラれて「あいつには見る目がない」と愚痴を言うことがあったりします。
あるいは、自分で選んだはずの学校や仕事に対して、文句を言うことも多かったりします。
自分を変えないことを正当化できる
自責思考を持てないのは、自分を変えなくて良い言い訳を作ることができるからなのです。
例えば、成績が上がらないことを「先生の教え方が悪い」「親も成績が悪いので遺伝した」と決定づけます。
すると、自分の勉強に対する思考や行動を変えないことを正当化できます。
例えば、商売が上手くいかない理由を「不景気」「客に見る目がない」と決定づけます。
すると、自分の経営を変える必要がなくなります。
人間は本能的に変わりたくない
人間の脳は、自分の思考や行動を変えないことを心地良いと感じるように設計されています。
人間も動物である以上、生き残らなければなりません。
死んでしまったら、子孫を残すことができないです。
数万年前、生きることは常に死ぬことと隣り合わせでした。
このような時代においては、昨日までと同じ思考と行動を取った方が安全でありました。
例えば、いつも暮らしている場所があったとします。
だが「もっと遠くまで行けば食料を確保できるのではないか」と考えたとします。
そして、別の場所へと向かいます。
これだけで、他の部族から襲われたり、肉食獣に食われたりするリスクが大きくなりました。
つまり、昨日までと違う思考や行動を取ることが、死に直結していたのです。
この時代からの名残りで、昨日までと同じ思考と行動を取ることを不快に感じるようなプログラムが、脳にされているのでしょう。
このように、人間には「思考や行動を変えたくない」という本能が存在します。
そして、それを正当化するために、他責思考を取るようになります。
まずは意識的に自責思考を取る
「今日から自責思考に切り替えてください」と言われても、すぐにできることではありません。
これは、脳のプログラム上、仕方のないことです。
だが、自責思考は訓練によって取り入れることができます。
「何もかもあいつが悪いんだ…」
「そんなこと言ったって、私のせいじゃないし…」
このような感情になったときに「これが人間の本能か」「いま自分は他責思考になっているな」と意識をするだけでかなり差が生まれます。
そして、少しずつ矢印を自分に向けていくことをイメージします。
そこから、問題解決のために自分ができることを探していきます。
これを繰り返すうちに、無意識に自責思考を取ることができるようになります。
他責志向の人との付き合いを減らす
自責思考を身に付けたいなら、他責思考の人との付き合いを減らすことが重要です。
学校や職場が同じである場合、関係を絶つことはできないかもしれません。
その場合は、なるべく一緒に過ごす時間を減らすようにしましょう。
これには、2つの理由があります。
影響されるから
他責思考の人と付き合っていると、無意識のうちに影響を受けます。
例えば、あなたが塾に通っているとします。
そして「成績を上げるために自分に何ができるだろうか」という自責思考を取り入れたとします。
だが、周囲の友人が全員「成績が上がらないのは先生が悪い」「両親も成績が悪いので遺伝だから仕方ない」などと言っていたらどうでしょうか?
あなたの思考や行動も、そちらに引っ張られてしまいます。
そして、自責思考から遠ざかってしまいます。
この結果、問題を解決できないケースが増えてきます。
他責思考の人と対立すると、あなたが壊れるから
人間関係において、あなたが自責思考を取るとします。
そして、他責思考の人と対立してしまったとします。
このとき、精神的に追い詰められてしまいます。
最悪、心の病にかかってしまったり、自殺をしたりしてしまう人もいます。
つまり自分の近くにこういう人がいる場合、精神的に追い詰められることになります。
自分を守るためにも、他責思考の人とは何とかして縁を切るべきです。
うつやネガティブになってしまう自責思考の危険性
ここまで話してきたように、自責思考によって物事は格段に上手くいきやすくなります。
だが、この自責思考には危険性も存在します。
それは、使い方を間違えてしまうと、気分が落ち込んでしまうことです。
最悪、うつになってしまう場合もあります。
そもそも、物事が上手くいきやすくなるための自責思考であるはずです。
それなのに、ネガティブな気分になってしまったら、行動がストップしてしまいます。
これでは、かえって問題解決から遠ざかってしまいます。
自分を責めてしまう場合の対処法
自責思考でネガティブになってしまう人は、過度に自分を責めてしまう人が多いです。
「自分はダメな奴だ」「なんであんなことをしてしまったんだ」と、どんどん気分が落ち込んでいく。
「自責」は「自分を責める」と書きます。
でも、ネガティブにならない健全な自責思考は「自分にできることを探すこと」であります。
自責思考において、自分を責めてしまったときは、すぐに
「自分を責めるんじゃなくて、自分にできることを探すんだ」
と自分に言い聞かせてほしいです。
「自分にできることを探す」という言葉は、とても前向きな響きがあります。
最初は、こうして意識的に自己暗示をかける必要があるかもしれません。
ですが、これを何度も繰り返すうちに、無意識にできるようになります。
すべての責任を背負いこむ必要はない
自責思考で落ち込んでしまう人には、もうひとつパターンがあります。
それは、問題が起きたときに、100%の責任を自分で背負いこんでしまうことです。
そもそも、物事が上手くいかない原因が、100%あなたの責任だなんてありえないです。
例えば、あなたが恋人やパートナーとうまくいかないとしましょう。
だが、これは「100%」あなたのせいであるはずがありません。
少なくとも1%は、相手にも責任があるはずです。
物事が上手くいかない原因は、自分にもあるし、他人や外部にもあるのです。
それにもかかわらず、100%自分が悪いと考えてはいけません。
あくまで「自分が原因となっている部分にだけ意識を向ける」のが、正しい自責思考の使い方です。
自責思考を持って、自責思考の人と付き合う
例えば、予備校の講師と生徒の関係を考えます。
生徒の成績が思うように上がらなかったとします。
両者が他責思考を持つ場合、次のようになります。
講師:生徒の成績が上がらないのは、生徒の取り組み方が悪い
生徒:私の成績が上がらないのは、講師の教え方が悪い
お互い、相手に責任があると思っています。
両者とも自分にできることを探さないので、何の変化も起こりません。
生徒は、成績が上がらずに志望校に合格できないかもしれません。
講師は、生徒の成績を上げることができません。
したがって、お互いに不幸なのです。
しかし、両者が自責思考を持つ場合、次のように変わります。
講師:教え方を工夫することはできないだろうか。
生徒:学習の方法を工夫することはないだろうか。
すると、講師はより教え方を工夫するようになります。
生徒も、自分なりに学習の仕方を工夫するようになります。
この結果、さらに成績が上がっていく。
講師は生徒の成績が上がって嬉しいし、生徒も自分の成績が上がって嬉しい。
こうして、お互いが幸せになれるのです。
まとめ
ここまで、健全な自責思考を持つ重要性について話してきました。
まとめると、次の通り。
- 自責思考を取ることで、問題を解決できる可能性が高まる
- 他人や周囲のせいにしても、問題が解決される確率は低い
- 健全な自責思考は「自分を責める」のではなく「自分にできることを考える」こと
- 他責思考の人とは縁を切るか、なるべく距離を置くようにする
- 自責思考の人同士が付き合うことで、人生はよりよく変わっていく
あなたも健全な自責思考を手に入れて、人生をより良く変えていってほしいです。